ホストクラブ体験記

渚光の全盛期は2014〜2015年頃だったと思う。
その見た目は、くっきり二重の大きな目に完璧に造りこむこまれたような顔。
180センチの高身長なうえに派手な演出がされていて、独特な存在感を放っていた。
長めの髪を盛り盛りにセットして、歌舞伎町以外では浮きそうな白ジャケットやホストスーツを着ている。

現在も〝日本有名ホストランキング1位〟だとほすほすに載っていました。

2014年、私が初回で行った頃のエアーグループの本店は、比較的ホストクラブらしいホストクラブでした。
初回では着いて欲しいホストを2名まで写真指名することができるので、私は渚光を写真指名しました。
渚光が着いてくれたのは、最速最短。冷やかしだろうと見抜かれてのことかもしれません。
ささっと隣に座ってきて「おれは初回の席には着かない。お金を払って指名してくれるお客様を大事にしている。初回の席に着くことは指名料を払ってきてくれているお客様に失礼にあたる。」という話をされました。続けて「おれと話したいなら指名して。2万あれば飲み直しに切り替えられる。」と言われる。
携帯を出すように言われ、番号を登録してと言われた。渚光が読み上げた電話番号を私が入力したのを確認して「登録しておいて」と言った。「おれと話したいなら、飲み直しして」と言い放ち、席を立って行った。
私は打ち込んだ番号を登録せずに消去した。

ホストクラブ初心者だった頃の私は、見た目が派手なホストは怖そう、積極的な営業をするホストはお金がたくさんかかりそうだと単純に考えていた。そのため渚光は指名したいホストの候補からは外しました。

飲み直ししないと着かないというのはスターホストだから通用したやり方で、スターホストゆえの冷やかし防止になり、さらにプレミア感を出すことができる有効な営業戦略だったのだと思う。
渚光は個性的なオリジナルのキャラクターを確立して、そのイメージを貫くホスト。
渚光が隣に座った時間はわずかだったけど、有名ホスト見たさだけで行った私には十分で、清々しいくらいの強烈なインパクトが残った。

渚光以外のホストはそれぞれ10分くらい着いてくれたのだけど、この店のホストは積極的なホストが多く、だいたいは飲み直しをお願いしてくる。断っても内勤が呼びに来るまでずっと飲み直しを頼み続けるホストもいました。私はこの雰囲気が合わず楽しめなかった。
この頃この店は歌舞伎町でトップクラスの人気店だったので、ホストクラブに行く女の子達は積極的に迫られたいタイプが多いのだろう。
初回料金は2時間5000円、歌舞伎町のホストクラブの初回では高い設定だった。（調べたところ 現在は90分3000円でした）

有名店の特徴は、ホストの数が多いこと、内装がきれいなこと。店内はおしゃれでシャンデリアがあって、キラキラしていた。トイレの中まで細やかに行き届いていた。指名して通ったらきっとお姫様のような気分になれるのだろうと思わせるような内装だった。

渚光はプライドが高くこだわりが強く、ホスト業界で〝カリスマ性〟を表現したかったのだと思う。
カリスマ性のあるNo. 1ホストを指名することで優越感や満足感を感じるタイプの女性が歌舞伎町にはいて、好きな人にはものすごくハマるホストです。
万人受けはしないけど、強気なドSホストを好む女性に絞って、その女性達のカリスマ的存在になることで、No.1ホストの座に長期間居続けたのだと思います。

戦略的に有名ホストの座を築いても、後に太客の逮捕が全国ニュースになることは誤算だったのではないだろうか。

煌びやかに見えるものは危うく壊れそうで、必ず正反対の影の部分があるのだ。

初回体験の翌年2015年に『歌舞伎町の彼氏』というホスト6名のイメージDVDが発売されます。渚光、桐生レイラらと一緒に私の指名ホストが出演しました。福家書店で行われたDVD発売記念イベントでのことは順を追って記事にしますが、有名ホスト達のDVD発売イベントは、誰も予測しなかった事態となります。

私が指名ホストを選ぶ理由を描くために、選ばなかったホスト編をもう少し続けます。指名するホストを選んでホストクラブに通ったらどうなるのか？その答えが出る2年後までをホストクラブ体験記として描いていきます。

良さがわからないというコメントをいただきましたが、それが普通の感覚です。ホストクラブというのは本来価値のないものをものすごく価値があるように見せて高値で売る場所です。
カリスマ性があると表現しましたが、正確に言い直すと、カリスマ性があると思わせているということです。
演出による思い込みの世界です。