マイナー店初回

事前に調べて有名店へ行くという記事を書いたのですが、私の初ホスト体験は、無名店でした。私は歌舞伎町へ立ち入り、一人で歩いてみて、場違い感と土地勘の無さで、恥ずかしくなってしまった。
私は東京都出身だけど、繁華街には慣れていない。都内の閑静な場所で育ち、ブランド物や流行りにはあまり興味がなくて服や持ち物は地味。
平日の19時頃の歌舞伎町を歩いているのはホストやホステスだと思われる人達が多く、ギラギラと鋭い目をした客引きも多い。そんな歌舞伎町へ勇気を出して、ホストクラブに行きたいという理由で一人で来たのだから、恥ずかしい。
地図を見て、キョロキョロ見渡しながら歩いてみたけど、気恥ずかしさから下を向いた。
そんな私に「ホストクラブに行きませんか」とホストのキャッチが声をかけてくる。「五百円で飲み放題!」「イケメンと飲みましょう!」雑誌やほすほすで見ていたようなキラキラ感はないけど、私は「はい」と頷いた。ホストは携帯で店に「一名連れて行きます」と電話をする。一緒に2分くらい歩きながら「顔写真付きの身分証明書はありますか?」と聞かれる。私は「免許証持ってます」と答える。
後からわかったことですが、歌舞伎町のホストクラブは初回入店時に顔写真付き身分証明書の提示が必須です。保険証やクレジットカードでは入れません。
万が一18歳未満の女の子が入ってしまった場合のリスクを考えてのことでしょう。法令遵守なのかと思えば、マイナー店では当たり前のように18歳19歳のホストが飲酒していました。後に行くことになる中堅店以上の店では18歳19歳のホストはノンアルと徹底されていました。

初ホストは古くて汚い感じのする雑居ビルの中にあって、免許証を提示して入店。思い描いていたのとは違って、暗く地味だった。全体的に黒っぽい店内に黒いソファーと黒っぽいテーブル、照明は薄暗い。大音量の音楽がかかっている。
19時頃だと、店内にお客さんはほとんどいない。
私の座った席からは、お客さんが一人見えた。隣に座るホストとふたりでいちゃいちゃ、目のやり場に困ってしまう。女の子はホストに抱きついてホストも女の子に抱きついて、お互いに膝枕のような姿勢になったり、人目を気にしない恋人同士のよう。ぎゅっと抱きしめてホストは女の子にキスをする。この光景は気持ちが悪く、見たくないものを見てしまったと思った。
キャッチされて入ったこの店の初回のシステムは、鏡月と割り物(水、烏龍茶、緑茶、ジャスミン茶、アセロラ、カルピス等)が飲み放題で1時間500円だという。割り物は何にしますか?と聞かれて、私はアセロラでお願いした。
1時間の間にその時に店にいる全てのホストが席に着くシステムなのだという。マイナー店で19時台というとホストが少なくて、着いたホストはでぜんぶで4人。いちゃいちゃ接客中のホストは着かなかった。恋人のように抱きしめていた女の子はよほど大切なお客さんなのだろう。私に着いてくれたホスト達はまだ新人で名刺もできあがっていないそうで、名前を手書きしてくれる。着いたホスト全員が「連絡先を交換したい」と言ってくれるのはお決まりトークで接客マニュアルのようです。私は二度とこのお店に来ないと確信していたので、連絡先の交換はしませんでした。それでもホスト達は自分の連絡先を名刺に書いて「連絡してね」と言ってくれます。1時間経ったところで、内勤(店の運営スタッフ)が「お時間です」と伝えに来る。そこで「着いたホストの中から送り指名を選んでください」と言われる。特に気に入ったホストはいなかったのだけど、適当に1人選ぶ。嬉しそうに「送りにしてくれてありがとう〜」と現れて、少し話してエレベータまで見送ってもらい「連絡待ってるね」と言われて、終了。初ホストの感想は、全然楽しくなかった。500円でももったいないほどにつまらなかった。
こういう規模の小さい無名店ではなかなかお客さんが来ないだろうから、とにかくホストにかまって欲しいという女の子なら楽しめるのかもしれない。私は帰り道に名刺を捨ててしまったので、店名すら覚えていない。

初ホストは退屈な1時間だったけど500円で済んで、怖いことも嫌なことも何もなかった。再び歌舞伎町を歩き出すと、ホストのキャッチに何度もあう。タダでいいから来てという店があったけど、タダというのは少し怖いような気がしてお断りした。

ある目立つビルの前はキャッチの名所なのかもしれないと思うほど、各店のホストがキャッチしていた。ただ、この頃すでに法律でキャッチは禁止されていたので、しつこくされることはありません。
私はノリ良く礼儀正しい印象のキャッチの前で立ち止まり話を聞き、90分500円で飲み放題という初回料金の店へ行くことにした。再びホストクラブへ、後でわかったことですが正確に言うとこの店は〝メンズキャバクラ〟でした。まだオープンして間もなく、ほとんどのホスト達はスカウトで集められたという。普通の男の子がヘアメイクをして、ジャケットを着たりホスト風の服を着ただけで、どこにいでもいそうな感じの男の子達だった。話し上手に感じたのは、ノリ良くテンポ良く話してくれたせいだと思う。明るく盛り上げようとしてくれる感じに、私は心地良さを感じていた。中身のない話ばかりするのだけど、ノリとテンポが良く、楽しい雰囲気で会話が続く。席に着き名刺を渡され10分くらい経ったところで次のホストへ入れ替わっていく。その時にいたホスト達が全員席に着き終わったところで、送り指名を誰にしますか?と内勤がやってくる。私はNEWSの小山慶一郎を普通っぽくしたような顔をしたホストを選んだ。選んでくれて嬉しいとテンション高めに再び登場、そこで飲み直しは通常料金より安くて一万でできるよとすすめられる。まあまあ楽しいと感じていた私は飲み直しをした。飲み直しでもそのホストの成績(指名数1本となり指名料等がそのホストに入る)になるらしく喜んでいた。中身のない話をたくさんして、ホストクラブは行ったことがあるのか?等の質問をされる。私が不慣れで話下手でも、途切れることなく会話が続くことに、楽しいと感じ、終電近くまで滞在して帰宅した。
後から知ったのだけど、この目立つビルは歌舞伎町で有名なホストビル〝タテハナビル〟だった。
私がたまたま入ったメンキャバはマイナー店だったけど、それなりに楽しかった。スカウトされてきたというそれなりの容姿に、ノリ良い明るい接客、激戦のタテハナビル内にオープンするまでには、それなりの準備がされていたのだと思う。もらった名刺も写真がついていたり凝っていたりしてホストクラブらしいものだった。
翌日、飲み直ししたホストから連絡がきて連絡を取るようになった。会話が続いて楽しいと感じたこととせっかく連絡をしてくれているからという理由で、その後に指名で飲みに行った。会計は1万円台で済んだ。このメンキャバはまず1時間で入り、その後は30分ごとに延長料金がかかっていくというシステム。そこに指名料、客とホストが飲んだドリンク・酒代が加算されていく。早い時間に入るほど安いシステムで、私は開店の19時に入って1時間で出たので、1万円台で済んだのだ。
あとでわかったことですが、短時間ならメンキャバが安く済み、長時間いるならホストクラブの方が安く済むのだそうです。
私が指名した小山慶一郎を普通っぽくした感じのホストは、良くも悪くも普通の子で、実は都内の大学に通っているという。六大学のひとつだった。会話が途切れずに続くことから頭の回転は速いのだろうと思った。新宿のビッグカメラに買い物に来た時にスカウトされた。スカウトしてきた社長がかっこよかったので話を聞いた。最初はホストに偏見があったが、話しているうちにやってみたいと思ったとこんな話をしていた。
この店は新規オープンのマイナー店なので、タテハナビル前でキャッチしてお客さんを入れている。キャッチした女性が警視庁の私服警察官だったことからそのまま現行犯逮捕されてしまって拘留されているホストがいると言っていた。スカウトされて気軽にやるにはリスキーなバイトだ。
メンズキャバクラというのは、学生の合コンに近いノリで、基本ワイワイと明るく盛り上げるような接客をしてくれる。
私はそれなりに楽しませてもらったけど、そう何度も行こうと思わなかった。客側はお金を払って行くわけだし、250店以上あるなら、他にも行きたいと思うのが客心理。そこそこ楽しくても、飽きてしまったらもう行かない。ホストクラブの客心理はこういうものなので、多くのホスト達は色恋や本営をして客を繋ぎ止めるのだと思う。
私はホスト初心者だったこの頃、ホストは飲み友達ではないのだから、客の都合と客の意思で行きたい時に行けるものなのだと思っていた。
私がこのメンキャバに行かなくなった理由は、いくつかあって、一番は他も見てみたいという気になったこと。私はお酒がものすごく弱いと伝えていたのだけど、飲んで飲んで!という合コンのようなノリで酔ってしまい、二日酔いがきつかったこと。
もともとホストに求めていたものは〝非日常〟で、私はホストに彼氏や友達のような深い関係を求めていなかった。
客側は冷静でシビアなので、何度も来店させるには、ホストは大変だと思う。
しばらく経ってメンキャバのホストから、来月バースデーでオリジナルシャンパンを作るからできたらそれを入れて欲しいというメールがきた。それはいくらなのか?聞くと「6万か7万だと思う」という返事がきた。シャンパンが6万だとして他に席料や指名料がかかるので、支払い金額は10万では足りない。ホストのお祝いにその金額を支払うのはばかばかしいと思って、私はそっと連絡先をブロックした。その後、私はそのホストと会うことはなく、ほすほすや雑誌で見かけることもなかった。
私は少し考えて、ホストクラブはこちらが気が向いた時に行くなら良いものなのだろうという考えに至った。自分が行きたい時に、自分が楽しむために行く。ホストのためにシャンパンを入れるようなお金の使い方は絶対にしない。自分が楽しく飲んで話して、数万円までなら良しと決めて、今度は有名店の初回に行こう。





コメント

キアヌ

奥が深い~~~
結構、奥が深いのですね ハマると深~~~い世界が待ってるのですね

まどか

Re: 奥が深い~~~
> 結構、奥が深いのですね ハマると深~~~い世界が待ってるのですね

コメントいただきありがとうございます(^_^*)
深い穴に落ちてしまうとなかなか地上に戻ってこれない、そんな世界をこの先 描いていきます。

-

承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
非公開コメント

プロフィール

まどか

ご訪問ありがとうございます!
恥ずかしい話ですが、ホストクラブに通っていた実体験を綴っていきます。
fc2ブログ初心者のため、使い方がよくわからないですが、よろしくお願いします。

ホストクラブ体験記を書いていますが、私はきれいな風景、空、花、動物の画像が好きなので、そういったブログへ訪問させていただいています。

月別アーカイブ